りんごの木の剪定作業の様子、動画でご覧ください

りんごの木は一年間過ぎると沢山の枝が出て来て、枝同士ぶつかったり、日陰枝が出来て
花芽が付かなくなったり、様々な問題が出てきます。また、作業しやすい木の形を作っていくのも選定作業の重要な役割です。剪定作業は通常は冬の間、葉が出ていない時期に行います。(私の園では700本の木を一人で剪定しているので、5月末までかかりますが….笑)

今回は冬の雪の中での剪定作業の動画を作成しました。
剪定は機械化できない職人的な手仕事です。最近は本州のほうで、シンプルな樹形の小型の木で剪定作業を簡略化することが進められているようですが、北海道の第一級の寒冷地では小型の木が問題なく育つかどうか、確認できていません。私が試験的に植えてみたところ、小型の木(矮性樹とか、わい化樹とかといいます)の生育には問題あり、という判断です。寒さだけが原因ではないかも知れませんが、3年ほどで樹の生育が止まり、使い物になりません。という訳で、私の園では実生台という最も大型になる、つまり強力なタイプの木でりんごを生産しています。

大型の木の場合は、中心に一本柱が通った一般的な木らしい形ではなく、地面に沿ってすり鉢状に開いた開心形という形に仕上げて行きます。これは青森県の先人たちが、高品質のりんごを生産するために試行錯誤の末に考え出した、日本独自のやり方です。日本人特有の細部にまで心を配って行う剪定作業によって、海外では真似できない高品質なりんご果実を生産できます。青森に行くと剪定名人が何人もいて、これは職人的な匠の世界ですね。職人的な仕事を引き継ぐ若者が少なくなっているために、剪定が簡単な小型の木を導入して誰にでも出来るように、ということで新しい方法が進められているんでしょうけど、何か寂しい気がします。日本は職人が沢山いる国です。これが日本の強さであり、これ故に日本は海外から尊敬されているのです。マニュアルを見れば誰でも出来るような物つくりで溢れたら、日本の存在意義がなくなる気がして怖い。

という訳で、まだ未熟な職人ですが、私の剪定作業の様子を動画で撮影いたしました。
りんごの剪定の基本(木全体の樹形を見て、鋸で大きな枝を切る⇒鋏で小さな枝を整理する)通りに進めています、ご興味のある方はご覧ください。